TOPへ

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群(過敏性大腸炎)過敏性腸症候群(IBS)とは、腸粘膜に炎症や潰瘍などの明らかな異常が認められないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感、膨満感に加え、便秘や下痢といった便通異常が慢性的に繰り返される病気です。発症の原因は明確には解明されていませんが、ストレスや不安といった精神的要因や自律神経の乱れが深く関与していると考えられています。外出に不安を感じるなど、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。日本人の約10人に1人が罹患していると推計されていますが、適切な治療を受けることで症状を抑え、改善を期待できる疾患です。

過敏性腸症候群の種類

下痢型

激しい腹痛とともに水様性の下痢が1日に何度も起こります。下痢は緊張やストレスをきっかけに生じやすく、突然の腹痛を伴うこともあります。排便後には一時的に腹痛などの症状が和らぎますが、いつ起こるかわからない、トイレに間に合わないかもしれないといった不安が、症状をさらに悪化させる要因ともなります。食後に症状が強まりやすい一方で、睡眠中には症状が出ないことが特徴です。

便秘型

腸管の痙攣によって便の通過が妨げられ、慢性的な便秘が起こります。症状としては、腹痛を伴う便秘が続く、強くいきまないと便が出にくい、コロコロとしたウサギの糞のような便が出る、排便後も残便感が残るなどが挙げられます。特に女性に多くみられるタイプです。

混合型

腹痛や腹部の膨満感を伴い、便通の状態が交互に繰り返されることが特徴です。例えば、3、4日便が出ない状態が続いた後、最初に硬い便が出て、その後1日に数回下痢になる、といった症状がよく見られます。

分類不能型

便秘型・下痢型・混合型のいずれにも当てはまらない場合は、分類不能型と診断されます。このタイプでは、腹部膨満感が強く、ゴロゴロとお腹が鳴る腹鳴や、排便とは直接関係のない不意のガス漏れなどの症状がみられます。また、人によっては原因不明の頭痛や倦怠感、疲労、抑うつ、集中力の低下など、消化器以外のさまざまな症状が現れることもあります。

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群(IBS)の明確な原因はまだ特定されていませんが、ストレスや食生活による消化管の運動異常が関与していると考えられています。近年では、感染性腸炎の後に発症する例があることから、免疫の異常や腸内細菌叢の変化も関係している可能性が報告されています。また、過敏性腸症候群はかつて大腸に限られた病気と考えられていましたが、現在では小腸を含む消化管全体の機能異常が関わっていることも分かってきました。

過度なストレスや性格的な要因によって、発症リスクが高まるとされています。特に以下のような方が過敏性腸症候群になりやすいといわれています。・真面目な方 ・20代の女性 ・30~40代の働き盛りで、ストレスの多い環境にいる方・感情を表に出すのが苦手な方・うつ傾向のある方

過敏性腸症候群の検査・診断基準

診察で症状の内容、症状の他に発症した時期や頻度、現在内服している薬の有無、ラ食生活や生活習慣などについて詳しくお伺いしています。さらに、腹部の診察や触診で腸の状態を確認いたします。便秘、下痢、腹部膨満感などの症状は、他の消化器疾患でもよくみられる症状です。炎症や潰瘍などが疑われる場合には、血液検査や大腸カメラ検査を行う場合があります。

また、2016年に発表されたローマIV基準を用いて、過敏性腸症候群の診断を行います。

ローマIV基準

直近3ヶ月間に「腹痛」が1週間につき少なくとも1日以上あり、同時に以下の1~3のうち2項目以上の特徴を有するものを過敏性腸症候群(IBS)と診断します。

1、排便と症状の関連:排便をすると症状が軽減する。
2、排便頻度の変化:排便の回数が増加または減少する。
3、便の形状の変化:便の硬さや外観が変化する。

過敏性腸症候群の治療

薬物療法

腸の運動を整える薬、腸内環境を改善する薬、腸の知覚過敏を抑える薬、便の水分量を調整する薬、さらには漢方薬など、さまざまなお薬の中から、患者様のライフスタイルや現在の症状に合わせて処方します。治療を継続する中で、症状や効果の現れ方を確認しながら、薬の種類や量を適切に調整していきます。症状の改善がみられない場合には、より効果の強い薬を使用することもあります。また、ストレスや心理的な要因が関与している場合もあるため、心理面への配慮を踏まえたお薬の処方が必要になることもあります。

生活習慣の改善

適度な運動、1日3食のバランスのとれた食事、十分な睡眠、そしてストレスの軽減は、症状の改善や再発予防に効果的です。一方で、高脂質な食事や香辛料、アルコール、カフェインの過剰摂取は、過敏性腸症候群の発症リスクを高めます。さらに、ヨーグルトなどの発酵食品を摂りすぎると症状が悪化する場合があります。特に牛乳やヨーグルトなどの乳製品、はちみつ、小麦などは、人によっては摂取過多で症状を悪化させることがあります。加えて、暴飲暴食や夜間の食べ過ぎも症状を悪化させる原因となるため、注意が必要です。当院では、一人ひとりの体質や症状に合わせた食事内容の見直しや、生活習慣に関するアドバイスを行っております。