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高脂血症

高脂血症

高脂血症とは、血液中に溶けている脂質が異常に多い状態を指します。その代表的な脂質には、コレステロールや中性脂肪があります。日本では、戦後の食生活の変化によりエネルギー摂取量に占める脂質の割合が急激に増加しました。それに伴い血清コレステロール値も顕著に上昇しており、特に女性の患者数は男性の約2倍と多く、性別でみると女性に多いのが特徴です。現在、脂質異常症(高脂血症)で治療を受けている患者数は約460万人にのぼります。「コレステロールが少し高い程度なら大丈夫」と考えている人も少なくありませんが、この病気は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに動脈硬化を進行させ、脳血管疾患や心疾患へとつながる危険性があります。また、健康診断を何年も受けずに自分のコレステロール値を知らない人も多いのが現状です。

高脂血症とは

血液の中には下記のような4種類の脂肪があります。

  • 脂肪酸・・・活動するためのエネルギーとなる
  • 中性脂肪(トリグリセライド)・・・脂肪細胞に蓄えられ、必要に応じて脂肪酸になりエネルギーとなる
  • コレステロール・・・細胞膜の材料、ステロイドホルモンの原料、胆汁酸の原料
  • リン脂質・・・細胞膜の材料、疎水性物質の親和性を保つ

これらの脂質の中で主にコレステロール、中性脂肪が常に多い状態になるのが高脂血症です。それぞれの脂肪の量でいくつかのタイプに分けられ、治療法も異なります。

  • 高コレステロール血症・・・コレステロールだけが多い
  • 高トリグリセライド血症・・・中性脂肪だけが多い、アルコールと肥満の影響が考えられる
  • 合型高脂血症・・・コレステロールと中性脂肪の両方が多い、早発性の冠動脈硬化症を合併するおそれがある

一般的に以下の数値を超えると異常値だといわれています。

総コレステロール値

220mg/dL以上

トリグリセライド値(中性脂肪)

150mg/dL以上

HDLコレステロール値

40mg/dL未満

(一般に善玉といわれている)

LDLコレステロール値

140mg/dL以上

(一般に悪玉といわれている)

善玉?悪玉?

善玉?悪玉?

コレステロールは体の細胞を作る材料であり、ホルモンの原料でもあります。必要不可欠ものなのです。脂質は脂肪なので、そのままでは水が主成分である血液の中を移動できません。そこでアポ蛋白というたんぱく質がリン脂質といっしょにコレステロールや中性脂肪を包んでリポ蛋白となり、運んでいます。その結合の割合により食物から吸収した脂質を肝臓に運んだり、肝臓で合成された脂質を末梢組織に運んだり、いろいろな役割のリポ蛋白があります。その中で、体の余ったコレステロールを回収し、肝臓へ戻す回収屋の役割をするものを高比重リポ蛋白=HDL(善玉)、肝臓からコレステロールを運んで各組織の細胞に届ける配達屋の役割をするものを低比重リポ蛋白=LDL(悪玉)といいます。悪玉といっても重要な役割があるのです。悪玉と呼ばれるのは、各組織へ運び過ぎてそこに溜まってしまうことにあるからです。

高脂血症による健康障害

高脂血症は動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞などの引き金になります。

高脂血症の状態が続くと、動脈の内壁にコレステロールが沈着してきます。このため動脈の弾力性が減少して硬くなったり、動脈の内腔が狭くなり血液が通りにくくなるという障害がでてきます。この状態が動脈硬化です。動脈硬化が進むと、心筋梗塞、脳梗塞など命に関わる病気の原因となります。

高脂血症

動脈硬化

  • 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
  • 脳血管疾患(脳出血、脳梗塞)
  • 肝臓病
  • 閉塞性動脈硬化
  • 眼底異常

コレステロールが220mg/dL未満の人に比べ狭心症や心筋梗塞などにかかる率がコレステロール値が上がるにつれて増えます。300mg/dL以上だと220mg/dL未満の人の発症率の4倍にもなるという報告もあります。

メタボリックシンドローム

内臓脂肪が蓄積すると、肥満症・高血圧・糖尿病・高脂血症などが同時に起こりやすくなり、この状態を「メタボリックシンドローム」と呼びます。これらの病気は、たとえ一つ一つの程度が軽くても重なることで、糖尿病の発症や心臓・血管の病気につながりやすいとされています。内臓脂肪が増えると特にお腹まわりが大きくなりますが、「かくれ肥満」と呼ばれるように、自分では気づきにくい場合もあります。

どのように治療、
予防するのでしょうか?

高脂血症は肥満と同じで、薬や手術で完治するものではありません治療期間も、本人の努力によって大きく違ってきます。脂質の数値にもよりますが、食事療法や運動療法(これらは予防にも効果的です。)を指導し、それでも改善がみられない場合、薬物療法(高脂血症のタイプによりそれに合った)を取り入れます。長期になる場合が多く、医師と相談して、無理せず長続きするような方法を実践していくことが大切です。

食事療法

高脂血症のタイプによって、コレステロール、中性脂肪のコントロールが大切です。当院では管理栄養士による独自の栄養指導を行っています。

コレステロールが多い食品

  • 卵類(すじこ たらこ 数の子など)
  • 生クリーム
  • バターラード
  • マヨネーズ
  • もつ類(牛レバー 鶏もつ 豚レバーなど)
  • 菓子類(スポンジケーキ クッキー シュークリームなど)
  • 魚介類(うなぎ わかさぎ ししゃも あなご いか うに たこ えび あさり しじみ めざし しらすぼしなど)

コレステロールが少ない食品

  • 牛乳
  • ヨーグルト
  • 植物油
  • 穀類
  • いも類
  • 野菜類
  • 果物
  • 海草類
  • 豆類(豆腐 高野豆腐 納豆 小豆など)
  • 魚介類(たら かれい ひらめなど)

栄養指導について

運動療法

高脂血症のタイプ、併発している病気により、医師と相談して適切な運動をする必要がありますが、できれば、毎日、心拍数が120/分を越えないよう1日30~40分の早歩きが効果的です。

薬物療法

コレステロールを低下させる薬など、タイプ、程度により処方します。