伴野内科クリニック
 
トップページ 今月のお知らせ クリニック紹介 診療内容 人間ドック 検査 診療時間 アクセス
  一般診療 医療相談 禁煙外来 プラセンタ療法
 
  百日咳は、百日咳菌感染よる急性呼吸器系伝染病です。新生児や乳幼児では、咳に続いて嘔吐や無呼吸発作が生じ、重症化することがあります。
成人では、咳が長く続きますが症状が軽く、受診や診断が遅れることがあります。それでも感染力はありますから、気がつかないうちにワクチン未接種の新生児や乳幼児、免疫力の衰えた高齢者へうつしてしまうことが問題です。
日本では、百日咳のワクチンは三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)として、生後3ヶ月から接種が普及し、新生児や乳幼児の発症率は少なくなっています。
しかし、2007年、2008年と成人の発症率が増加しています。大学での集団感染などが話題になりました。これは、ワクチンの効果が低下してきたことが原因の一つと推測されています。
世界各国でいまだ多くの流行が発生しています。百日咳は、成人もかかることがあること、感染源になってしまう場合があることを知っておくことは大切です。
 
  百日咳菌という細菌が気道粘膜に感染して発症します。百日咳にかかった人の咳やくしゃみ、つばなどのしぶきに含まれる菌を吸いこむことによって感染します。感染すると気道粘膜が剥がれ落ち、炎症が起きます。初期は、鼻水やくしゃみ、軽い咳が多くでます。成人の多くは、免疫があり、この軽い症状で治ってしまいます。
気道粘膜の損傷が進展すると、気道分泌物が増え、痰を吐き出せなくなったり、ほこりや少しの煙だけでも咳発作が誘発され、その咳がまた次の咳を誘発するという悪循環になってしまいます。とくに新生児、乳児期は、咳が長引くと呼吸困難となり、けいれんをおこしたり、低酸素状態に陥ると脳細胞に損傷を与え、生命にも関わることもあります。
 
 

1)カタル期
約7日間の潜伏期を経て、はじめは、かぜ症状で始まり咳の回数が増えて程度も激しくなっていきます。発症後数日であれば、マクロライド系抗菌薬が有効です。

2)痙咳(けいがい)期(約2〜5週間)
特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となります。これは短い咳が連続的に起こり、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューという音が出ます。しばしば嘔吐を伴いますが、発熱はないか、あっても微熱程度です。成人の場合の咳は、この特徴がなく、この段階でも気がつかない場合も多いです。

3)回復期
発症から治癒までは、6〜12週です。痙咳期が一段落した後も作は少な時折忘れた頃に発作性の咳が出ます。

成人の場合は、発病に気がつかないまま回復に向かってしまい、軽症で診断が見のがされやすいですが、菌の排出は咳の開始から3週間以上持続する場合もあります。ワクチン未接種の新生児・乳児、免疫力が衰えた高齢者に対する感染源として注意が必要です。痙咳期には抗菌薬で咳症状を抑制する効果は少ないとされていますが、痙咳期、回復期においても、症状を緩和するお薬の他に、除菌を行い周囲への拡散を防ぐために、抗菌薬を処方する場合もあります。

患者さんの同居家族や、濃厚に接触した方について、くわしく説明してください。ご家族にも、治療や予防の処置が必要です。

 
 
咳が長引くときは、百日咳や他の呼吸器感染症の可能性も考え、早めに受診しましょう。
特に、新生児や乳幼児、高齢者と同居している場合は、咳が少しでも出た時点で、マスクをしたり、接触に気をつけましょう。

新生児、乳幼児のためのワクチンは、三種混合ワクチンとして、生後3ヶ月から(ほとんどの自治体で無料)接種できます。
(1)医療機関で治療後、薬などの用法を守る。
 (市販の咳止め薬などは、症状が悪化することがあります。)
(2)安静にする
(3)湿度を高くしたり、ほこりやけむりなど咳を誘発するものを排除する。
(4)マスクをする
(5)咳やくしゃみの際に、マスクがない場合はティッシュなどで口や鼻を押さえ、他の人に直接かからないようにする
(6)手洗いを心がける