伴野内科クリニック
 
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結核
 
  日本の結核患者は50年前と比べれば、激減しています。
しかし、日本の結核罹患率(新たな発生率)は、「結核中まん延国」とうれしくない評価とされ、その先進国(低まん延国)とは差があり少ない病気ではありません。また、近年になって、患者の高齢化、都市部への集中、重症発病の増加などの新たな問題もでてきています。 世界では、20億人が結核に感染しており、毎年800万が新たに発病し、200万人が命を落としています。 そして、その多くはアジア地域をはじめとする開発途国で発生しています。グローバル化により海外渡航が増えていることも新たな問題の一つです。
結核は治療法も確立し、早期発見早期治療すれば、昔ほど恐い病気ではなくなっていますが、結核は過去の病気と思いこみ、症状が現れても気付かず、受診が遅れ、集団感染につながったり、重症化してしまうこともあります。結核に対する知識をもち、早期の治療が大切です。
結核とは
 
  結核とは、結核菌によって主に肺に炎症を起こす病気です。結核菌は重症の結核患者が咳やくしゃみをした時に飛び散り、それを周りの人が直接吸い込むことによって感染します。
しかし、吸い込まれた菌のうち9割以上は体の外に追い出されてしまいますし、ごく一部、体内に菌が残っいても、からだの免疫が働き、発病しないことが多いです。免疫力、抵抗力が低下して、感染後、結核菌が体内で活動を始めると病巣ができ発病します。発病は感染した10人の内1~2人程度で、感染後1年以内が番発症の危険性が高いのですが、時には1年以上、長い場合には何十年も経ってからでも発病を起こすことがあります。結核菌が病気を起こす臓器は肺が一番多いですが、骨や腎臓など人体のいろいろな臓器にも起こします。結核菌が病巣をつくった臓器では炎症、化膿が起こり、その臓器の働きに障害を起こし、最悪の場合は死亡してしまうこともあります。
日本における結核の問題
 
  一年間に新たに患者になる人は約3万人、死亡する人は約2千人です。
高齢者は、若い頃に結核流行時を経験していて、既に結核に感染している人が多く、体力・抵抗力が低下した時に、眠っていた菌が目を覚まし発病しやすくなります。高齢者が増えると結核を発症する人も増えてしまうのです。
若い人は未感染の人が多く、菌を吸い込むと感染しやすく比較的早い時期に発病する危険があります。若い人は海外渡航の割合も多いのです。また、HIV感染者やAIDS発症者に結核菌が感染するとたいへん危険です。HlV/AIDSは日本で増加しており、結核重症者も増えてしまう可能性があります。
結核の予防と治療
 
  前述したように結核菌に感染してもすぐに発病するわけではありません。そして結核になった人全部が他人にうつすわけではありません。結核になった場合にも、早く発見すれば、ほとんどの人は他人にうつす危険性はなく、6~9ヵ月の治療で完全に治ります。結核菌がみつかった場合は、他人にうつす危険性があるので入院して治療しますが、ほとんどの場合入院後最初の2~3週間でうつす恐れはなくなくなり、入院は3~4ヵ月です。

結核の初期症状は、風邪とよく似ています。咳やタン、微熱、だるさが2週間以上続いたら必ず医療機関で受診しましょう。「結核と気がつかない」ことが集団感染につながることもあります。早期発見、早期治療は、重症化を防ぐだけではなく、家族や職場等への集団感染を防ぐためにも重要です。

抵抗力の弱い乳幼児は、結核に感染すると髄膜炎や粟粒結核など重症になりやすく、生命にかかわります。乳幼児の結核を予防するためにBCG接種が効果的です。生後6ヶ月までに接種しましょう。

結核は抵抗力が弱まったときに発病します。そのため、日頃から十分な睡眠と食事、適度な運動などを心掛け、体調を整えていれば、感染しても一生発病しない可能性が高いのです。

結核と診断されても、6ヶ月間毎日きちんと薬を服用すれば治ります。 しかし、症状が消えたからといって、 治療の途中で服薬を止めてしまえば治りません。 それどころか、菌が薬に対して耐性をもってしまい、薬が 全く効かない多剤耐性菌になることもあります。 決められた薬をきちんと服用することは非常に大切です。